我が家にはハムスターが一匹いたのですが、数日前から食欲がなくなっていたので心配していたのです。
夜中に見た時には、巣から出て伸びたような状態でしたので、変に思って身体を擦ってやったのですが、ピクリともしませんでした。
ハムちゃんは背中に触ると極端に怖がりますから、気にはなったもののそのまま様子を見ていたのです。
ケージの下に暖房マットを敷いているので暑かったのかな・・・くらいに思っていたのです。
暖房マットが暑い時には、巣から出て寝ている事が多かったからです。
ところが朝になっても、全く同じ場所から動いていないので、「これは大変だ」と思って上からわし掴みにして両手に乗せました。
背中を擦っても怖がらないどころか全く動きません。
お腹だけが膨れたり凹んだりして、ただ呼吸をしているだけという状態でした。
頭も前足も後ろ足も全く動きません。
私は「もうこれは手遅れだな」と思いました。
もしかすると「糞詰まり」かとも思って、お腹と背中を擦りながら2つだけ糞を取り除きりました。
途中で気が付いて「水かもしれない」と思い、赤ん坊に哺乳瓶でお乳を与えるように水を一滴二滴と与えましたが、その時確かに舌がうごいて反応しました。
前足も後ろ足も動きました。
この時は私も非常に嬉しくなり、「もしかすると生き返るかもしれない」と思いました。
それでその後も数滴の水を与えましたが、頬に触れた時に口から水がこぼれ落ちましたから、水を飲んだのではなくて頬の袋に溜まっただけだったのかも知れません。
私は「もうだめだ」と感じましたので、両手の中でハムちゃんの死を看取ってあげようと思いました。
ハムスターの寿命は2、3年ですから2年は生かしたかったのですけど、1年半くらいしか生きなかったのですから、飼い主の責任を感じます。
私はハムちゃんを両手で包み、身体を一生懸命に擦っていました。
どうしても死なせたくなかったのです。
私はちょっとトイレに行きたくなって、ハムちゃんをふっくらとした真綿の上に寝かせました。
トイレから戻ると、女房が「ハムちゃんが鳴いてる」と騒いでいるのです。
不思議な事ですが、人間でも死の間際には大きな「いびき」をかきますけれども、ハムちゃんも寝息のような声を出し始めたのです。
このような声は初めて聞きました。
それからしばらくしてお腹の動きが止まり、呼吸が止まったようでした。
もう既に死んでしまった訳ですが、それでも身体を擦ってあげていたら、大きな痙攣のようなものがあって身体全体が動き、口から声を出したのです。
といっても、口を開いて「パッ」というような小さな音がしただけなのですが、普段は全く声を出さないペットですから、少しの鳴き声でも不思議さを感じてしまうのです。
その後は全く動かなくなってしまいました。
こんな事は初めての事です。
ペットの「生から死への瞬間」を両手の中で看取ってあげるなんて・・・
ペットというのは「朝気が付くと既に死んでいた」という事が多いからです。
今回その点だけは幸いでした。
その後は、紙箱の中に真綿を沢山入れて、その中にエサと花を一緒に入れてやり寝かせました。
それから近くの荒川の土手の橋の下まで自転車で行って埋めてやりました。
マンションの近くには埋める場所、つまり土がないからです。
もうそれから数日経ちますけれども、空っぽになったケージとたっぷり入ったエサの袋を見る度に、今でもハムちゃんには「ごめんね、ごめんね」と謝りっぱなしです。